フィリピン株投資は基本的に財閥系に投資しておけば比較的堅い投資になるのですが、その財閥も群雄割拠の状況で、とにかく何だかんだと財閥は日本人が思っている以上に多いです。数ある財閥の中でも日本とコネクションが多い財閥にユーチェンコ・グループがあります。ということで、投資の参考になるかもしれませんので少しまとめておきたいと思います。
フィリピン株の投資信託を見てもHouse of Investments(ハウス・オブ・インベスティメンツ)が組み込まれている場合が以外に少ないのですが、ユーチェンコ・グループの4つのうちの1つの中核企業になります。創業者はアルフォンソ・ユーチェンコ氏(1923 – 2017)で94歳の長寿としても知られていました。
House of Investmentsは1959年にフィリピンで設立された初めての投資銀行でした。マラヤン保険会社を起源とする話がありますが、House of Inverstments自体は投資銀行として設立されていますし、会社自体も投資銀行を起源とすると述べています。投資銀行という性質上、どうしても持株会社の性質に傾く傾向を否定することはできませんから、結果として以下の会社を束ねる会社に成長しました。たくさんの会社を抱えていますが、6本の柱として自動車販売、建築、教育、エネルギー開発、資産管理、医療、投資となっています。一応、好きな人もいるでしょうから傘下企業は以下の通りになっています。
このうち教育事業とIT事業のiPeopleと建設事業のEE I CorporationのみがPSEに上場しています。リストを見ても日本人なら目に止まるホンダやいすゞといった日本企業のカーディーラーを運営しているのも特徴です。ちなみにローマ字になっていると分かりづらいですが、HI-Eisaiは日本の製薬会社エーザイが出資しているグループ企業です。
なおHouse of Investmentsがマラヤン保険会社を起源としないというのは、ユーチェンコ・グループは以下の4つを旗艦会社としているからです。
ユーチェンコ・グループでは公式にマラヤン保険会社とハウス・オブ・インベスティメンツを別に扱っていますし、事実として歴史的にはマラヤン保険会社の方が古いとは言えますが、それを以ってマラヤン保険会社を起源とするのは些か難しいと思います。
旗艦会社のうちRCBCはリサール商業銀行を主とするもので、既に別の記事で触れているように三井住友銀行が5%弱の株式を取得してデジタルバンキングなどのデジタルソリューションの構築を強化する関係性を持っています。
ちなみに日本とRCBCとの関係は意外に古く1974年に旧UFJ銀行が出資しています。業務提携の面で言えば、りそな銀行グループ、商工中金と提携しています。
旗艦会社のうちの1つマラヤン保険会社は1930年にChina Insurance and Surety Company, Incに起源を持っています。そして1964年5月12日にMalayan Insurance Company, Inc.がマラヤン保険会社(MICO)、コンチネンタル保険グループ、東京海上日動火災保険株式会社の合弁会社として設立されます。しかし1997年2月にはマラヤン保険会社と東京海上日動火災保険会社との間で東京海上マラヤン保険株式会社という名称で合弁会社が再設立されることになります。さらに2008年9月にはマラヤン保険会社と東京海上日動火災保険は合併し、フィリピンでも著名な保険会社となりました。
このような感じで、ユーチェンコ・グループ全体として日本企業との関係が多いのが特徴です。このうち実際にフィリピン株として投資できるのはiPeople、EEI、RCBC、HI (House of Investments)の4社になります。さらにRCBCとHIに関しては日本企業との関連性が極めて強く、もしこれらの企業に何かあった場合は日本企業も間違いなく何かしらのアクションを取る、つまり投資先としては手堅いとも言えるわけです。
しかし何が起こるか予測できないのが株の世界。投資する際にはPSEやPSE Edgeなどで情報を自分の目で確認し、投資すべきか否かを自分で判断して投資するようにしてください。自分の大切な資産なんですから、他人任せにせずに自分で納得して投資して欲しいと思って已みません。