Aboitiz Equity Ventures Inc.の27日のディスクロージャーに少し気になるものが上がっていました。
“Acquisition/Disposition of Shares of Another Corporation”
要するに「他社の株式の取得/処分について」というあり触れたタイトルですが、その内容が興味深いものでした。以下、本文と翻訳文を載せておきます。
Subject of the Disclosure
Sale by Aboitiz Equity Ventures Inc. (AEV) of 25.01% ownership stake in Aboitiz Power Corporation (“AboitizPower”) to JERA Asia Pte. Ltd. (“JERA Asia”).Background/Description of the Disclosure
The transaction involves the Sale by AEV of its 25.01% interest in AboitizPower to JERA Asia, equivalent to 1,840,334,941 common shares. Prior to the sale, AEV held 77% of the total outstanding shares in AboitizPower. Upon completion of the transfer, AEV will own approximately 52% of AboitizPower. JERA Asia is a wholly owned subsidiary of JERA Co., Inc. (“JERA”), a power generation company based in Japan.開示対象
Aboitiz Equity Ventures Inc. (AEV)が保有するAboitiz Power Corporation(以下AboitizPower)の株式25.01%をJERA Asia Pte. Ltd.(以下JERA Asia)に譲渡しました。開示の背景/内容
https://edge.pse.com.ph/companyDisclosures/form.do?cmpy_id=16 翻訳: Zumi
本取引はAEV が保有するAboitizPowerの 25.01%の持分(普通株式 1,840,334,941 株に相当)を JERA Asia に売却するものです。売却前のAEVはAboitizPowerの発行済株式総数の77%を保有していました。譲渡完了後はAEVはAboitizPowerの約52%を保有することになります。JERA Asia は、株式会社 JERA(以下JERA)の完全子会社です。JERA Asia は日本の電力会社である株式会社JERA(以下JERA)の完全子会社です。
AboitizPowerに関しては以下の記事「改めてフィリピンの電力事情を整理する。」で触れました。
上記の記事で触れているようにAboitizPowerはビサヤ地方とミンダナオの配電はVecoとDLPCが担っていますが、これら2社はAboitizPowerの子会社です。そしてAboitiz Equity VenturesはAboitizPowerの親会社になります。Meralco (メラルコ)はあくまでルソン島の電力会社ですから、他の地域に関してはAboitizPowerが担っていると言っても過言ではありません。最近、銘柄の選択と集中を進めていましたが、もう1銘柄削ってAboitizPowerを入れる予定でした。しかし削る銘柄を選定しているうちに想定以上の高値になってしまい見送っていました。もちろんJERA Asiaの株式取得の情報を掴んでいたわけではなく、単純に投資家として僕ならAboitizPowerに投資するかなーという直感です。一例を挙げれば、セブの空港線の話があります。今どきディーゼルなどを走らせるとは思えませんし、電車ならば電力事情を改善しなければなりません。Converge ICTなどのインターネットに関しても、データセンターなどの安定には電力が重要なファクターとなるわけです。そういう環境を鑑みると将来の成長の潜在性はメラルコよりAboitizPowerにあると思います。そんなことを考えていた矢先にJERA Asiaへの株式譲渡でした。
で、そのJERAって何ぞやって話なわけですが、簡単に言えば中部電力と東京電力のフュエル&パワーによって設立された会社で、日本国内の火力発電の半分を占める発電能力に加え、燃料取扱量に関しては世界最大級です。普通に生活している日本人なら、ほぼほぼ知るきっかけすら得ることのない会社だと思います。そんな中電と東電のタッグによる会社の子会社JERA AsiaがフィリピンのAboitizPowerの株式を取得した、ということですね。ちなみにJERAのプレスリリースにも紹介されています。プレスリリースの最後の知見を鑑みるに、僕の見込みは強ち間違っていないんじゃないかと思っています。
経済成長著しいフィリピン共和国では、2030年までに年平均4.2%の電力需要の伸びが見込まれており、電力インフラの整備が急務となっています。
https://www.jera.co.jp/information/20210927_765
そんなこんなでメラルコばかりが取り沙汰されるフィリピンの電力事情ですが、今回のAboitizPowerやAC Energyなど目が離せない企業も多くあります。今日の記事がフィリピン株への投資の参考になればと思います。