少し前に触れたユーチェンコ・グループのHouse of Investments傘下の建設大手EEI Corporationが配送サービスアプリの“eCarga“をリリースしました。そもそもユーチェンコ・グループって何ぞやって方は以下の記事をご覧ください。
そもそもフィリピンの物流がどうなっているのかを整理しておくと、主に飛行機・船・トラックによる陸運の3つに大別されます。以前はフィリピン国鉄の貨物輸送もありましたが1992年に停止されて以降、運輸サービスは提供されていません。フィリピンは多くの島で成り立っていますから海運がとても重要になるのは間違いありません。したがってInternational Container Terminal Services, Inc.のような港湾サービスはフィリピンにとって重要な位置を占めるわけですね。
しかし飛行機にしても船にしても、そのあとの陸運は鉄道がサービスを停止しているためトラック輸送に頼らざるを得ない状況なわけです。そのような状況にあってEEI Corporationが突如として配送サービスのマッチングアプリをリリースしたわけです。建設王手が何故・・・という気がしないでもないです。
ディスクロージャーによると、eCargaは荷主とトラックドライバーやオーナーをマッチングさせるものだそうです。いやいやフィリピン国内には既に配達サービスがあるので新規参入は厳しいんじゃないの?と個人的に思うわけです。
たとえばフィリピンの運送サービス(BtoBとBtoCを含む)は以下のような業者があります。
eCargaは荷主とトラックドライバーやオーナーとマッチングさせるサービス、つまりGrabのトラック版ような感じになるかと思います。ディスクロージャーを少し詳しく読んでみると次のようなことが書いてあります。
eCargaのモバイルアプリを利用すれば荷主は数回タップするだけで必要な配送情報を入力し、集荷・配送予約することができます。トラックのオーナーはウェブサイトを介して顧客のリクエストにアクセスし、運賃やスケジュールの管理を行うことができます。トラックオーナーは依頼を受ければドライバーに仕事のリクエストを出し、ドライバーは自分のモバイルアプリを通じて仕事の詳細を受け取れます。
そのまんまGrabの貨物版ような雰囲気ですが、ほぼ他社のサービスと被っていますし、正直EEIが何を目論んでの参入なのか読めません。建設王手である利点を用いて建設資材などに特化させるのかなと思いきや、ホームページを見る限り建設業に特化した様子でもありません。なぜ今になって、そして今のタイミングでの参入なのか、その狙いは何なのでしょうか。
もちろん寡占状態より競合他社が増えた方が価格競争やサービス内容の改善などが行わるわけですから消費者としては選択肢も増えてメリットばかりですから喜ぶべきでしょう。ただ投資する側としてはどうなんでしょうね。ポジティブな材料と取るべきなんでしょうか。
ちょっと意外なところからの意外な参入だったので、ついつい記事として扱ってしまいましたが、もしかしたらeCargaが他社を買収して大きくなる可能性もあるわけですから、どこか記憶の片隅にでも置いておきたいとは思います。