フィリピン人講師の格安オンライン英会話が乱立したことで、一昔前に比べれば英語がグッと身近になったと思います。そんなフィリピン人講師のオンライン英会話を続けていて「こんなに安くていいの?」って気になったことありませんか?月額が安い=講師の給料も安いと考えるのが自然だとしても、本当に想定している給料で働いているのか想像できませんよね?ということで実際にフィリピン人がどのくらい稼いでいるのか紹介したいと思います。
まずフィリピン政府が定めている最低日給ですが2021年は以下のようになっています。
地域 | 最低日給(ペソ) |
---|---|
首都圏(マニラ、マカティ、ケソン等) | 500〜537 |
コルディリェーラ地区(バギオ等) | 340〜350 |
イロコス地区 | 282〜340 |
カガヤンバレー地区 | 345〜370 |
中部ルソン地区(パンパンガ等) | 304〜420 |
カラバルソン地区 | 303〜400 |
ミマロパ地区(パラワン等) | 294〜320 |
ビコル地区 | 310 |
西ビサヤ地区(バコロド、イロイロ等) | 310〜395 |
中部ビサヤ地区(セブ等) | 351〜404 |
東ビサヤ地区(レイテ等) | 295〜325 |
サンボアンガ半島地区 | 303〜316 |
北ミンダナオ地区(カガヤン・デ・オロ等) | 331〜365 |
ダバオ地区 | 381〜396 |
ソクサージェン地区 | 315〜336 |
カラガ地区 | 320 |
バンサモロ自治区 | 290〜325 |
ちなみに最低時給ではなく最低日給です。それぞれ最低日給は農業と非農業とで分かれていて、例えばマニラ首都圏だと農業の最低日給は500ペソ、非農業の最低日給は537ペソと定められています。もちろん最低日給ですから、これよりも多いこともあるのですが極端に言えば誤差の範囲とも言えるかもしれません。
最低日給の次に職業別の平均日給をindeed.comを参考に見てみましょう。2021年11月までのindeedの調査に基づいています。なお平均なのでマカティやマニラなどの最低日給を下回る場合があります。
職業 | 平均日給(ペソ) |
プログラマー | 1,555 |
雑誌編集者 | 1,383 |
高校教師 | 841 |
小学校教師 | 783 |
英語講師 | 910 |
会社員 | 471 |
清掃員 | 450 |
運転手 | 501 |
工事現場作業員 | 506 |
警備員 | 805 |
ファーストフード店員 | 407 |
銀行(窓口) | 795 |
アメリカに上場しているオンライン英会話スクール51Talkの講師の月給は約18,000ペソです。僕の友人も51Talkで働いていましたが給料が安すぎるので他に移りました。この辺りがオンライン英会話の先生たちの給料だと思ってもらっていいでしょう。ただセブだとか地方へ行くともっと安いですし、僕の知っている日系企業はもっともっと安いです。
会社員は新入社員など幅広い平均となるので安くなりがちですが、もう少し高いとは思います。世界的にプログラマーなどの需要が高まっている点、ITをフル活用したコンテンツライター(雑誌編集者込み)などITに関連する仕事は総じて高給になっています。地味に日本よりも給料がいい場合もあります。
フィリピンは物価が安いので移住先に考える人も少なくありません。特にビザ要件は世界的に見ても緩い方ですから、海外で引退生活したいと考える人の候補にフィリピンは良く上がります。そこで気になるのは生活費なわけです。ちなみに極論を言えば毎月20,000ペソあれば生きることだけに専念すれば可能です。つまり日本円で毎月4万円くらいあれば働かなくても何とか生きていくことだけはできます。ということで、フィリピン在住の友人たちに色々と聞いた生活費を紹介しておきたいと思います。
規模や場所によって異なりますが、家賃は5,000ペソから25,000ペソくらいの幅が一番多いです。ただ家族が増えてくると部屋の広さ的に25,000ペソの家賃の物件が最低限になってくると思います。
もちろん贅沢するか否かにかかってくるわけですが、極端に言えば5,000ペソあれば電気代と水道代が賄えます。毎日エアコンを8時間くらい使って、あとは扇風機くらいの生活スタイルで3,000ペソくらいになります。ただマニラだともっと費用がかさんでくると思います。水道はコンドミニアムであれば管理費に含まれている場合がありますが、およそ1カ月300ペソくらいになります。
述べるまでもなく自炊した方が安く、食料品に約3,000ペソ~4,000ペソあたりが自炊だけの予算の目安となるでしょう。ただしビールなどアルコールを含んでいないので、毎日晩酌する人はもう少し必要でしょう。またカレンダリヤのような食堂ではなく、ちょっと小ぎれいなレストランに行けば当然跳ね上がります。例えばJollibeeに行くと、一番安いバーガーのセットメニューで86ペソ、ビーフパテとライス、ジュースのセットで65ペソ、Chickenjoyを頼むと安くても95ペソ必要です。ちなみにマクドナルドとKFCはおかわり自由のグレービーソースが提供されている(今はコロナウイルスの影響で中止とのこと)ので、それでお腹を満たすというフィリピン人もいます。
ダバオでは10ペソで乗れるジープニーもマニラだと20~25ペソくらいになります。バイクを乗って自分の思いのままに走りたい!という場合は新車のスクーターで4万ペソ、中古で1万5,000ペソくらいで買えます。これもマニラに住む友人よりダバオに住む友人の方が何故かバイクの値段も安かったです。
あとは携帯代やインターネット費用などの雑費を計算に入れておかなくてはなりません。プリペイド式の携帯を使っているフィリピン人が多く、それこそ毎月20ペソしか使わない猛者もいるなどピンキリと言えてしまいます。インターネットは料金の割に速度も遅いです。Globeの最も安いプランGlobe At Home Go Big LTE 1299は毎月150GBまでしか使えず、スピードも10Mbpsという驚異的な遅さで1,299ペソもします。Sky Fiberなどが使えれば使い放題で20Mbpsで999ペソで使えます。インターネット環境も地域によって価格が異なるのがフィリピンです。
紹介した予算での生活は日本よりも不便な生活にはなります。またフィリピンで働きながらとなると、上述したような賃金体系となってくるので日本の生活スタイルを維持するのは困難になるでしょう。iPhoneが出たからと言って簡単にほいほい買えるものでもないことが分かるでしょう。一方でノマドワーカーであれば日本での生活より少しリッチにフィリピンで生きていけるかもしれません。もしフィリピンへの移住を考えている人がいれば、このデータが役に立てば幸いです。