フィリピンの友人がDMCIの建設したコンドミニアムを買うらしいです。日本円にして数千万円くらいする物件ですが現金で一括購入すると数十%の値引きを得られるので現金一括で買うそうです。フィリピンでコンドミニアムを買うと、たぶんデベロッパーから次のような3種類の購入方法を提示してくれると思います。
このうち最も値引きしてくれるのが現金一括で最大30%とか引いてくれます。次に頭金を入れて毎月少しずつ支払い完成時に一括で支払う方法で外国人が最も良く使う購入プランです。この支払方法だと10%くらいの値引きを得られます。最後の頭金を入れないパターンはフィリピン人が使う方法で値引きはありません。もちろんデベロッパーによって値引き率など変わってきますから鵜呑みにしないで欲しいのですが、友人の場合は30%近くの値引きがありました。デベロッパーからすれば余計な事務が減ったり、あるいは現金を先に得られるメリットがありますが、それでも30%も引けるのは何だか不思議な印象です。
友人はメトロマニラ圏で土地を安く買い、そこに自分で建物を設計して建てて売っていて、今回なんとアメリカから現金一括で買ってくれたので、その資金をコンドミニアムに回す計画らしいです。基本的に外国人はフィリピン国内で土地を所有できないのですが、どうしてアメリカ人が買えたのか興味津々です。基本という文言がある場合は須らく例外があるというのが法学の常ですから何か方法があるんでしょうね。
ということで友人が購入するコンドミニアムのデベロッパーDMCIについて整理してみたいと思います。
DMCI Holdings, Inc.はフィリピンでは唯一の建設業を主たる事業とする持株会社です。AyalaやSMなども建設業を行ってはいますが中核事業とはしていないという意味でDMCI Holdingsは唯一無二の存在です。
2010年11月からフィリピン証券取引所総合指数 (PSEi)の構成銘柄となっています。
DMCIは1995年3月8日にフィリピンの建設業界の祖父と呼ばれるデイビッド・メンドーサ・コンスンジ氏によって設立されたD.M. Consunji, Inc.に端を発します。DMCIの名前は、DavidのD、MendozaのM、ConsunjiのC、IncorporatedのIを取って名付けられています。同氏はマルコス政権時代の1970年から1975年まで公共事業・運輸・通信省の元長官を務めており、さらにフィリピン建設業協会、アジア西太平洋建設業国際連盟、フィリピン土木学会、国際建設業連盟の副会長などを務められました。
DMCIの傘下企業にはPSEに上場しているSemirara Mining and Power Corporationがあり、フィリピン国内の石炭の97%を生産しています。同じくPSEに上場しているDMCI Homesも当然のことながら傘下企業です。またDMCI Powerはオフグリッドエネルギー、いわゆる送電網を使わない独立した電力を供給するセクターではフィリピン国内最大級です。他にはニッケルやクロマイトを掘り出す鉱山を運営するDMCI Mining、上下水道事業のMaynilad Water Services, Inc.の25%の株式を保有している典型的なコングロマリットです。
友人がコンドミニアムを買うのはDMCI Homesのブランドになるわけですが、DMCI Homesは基本的に中流階級の人々をメインターゲットにしてます。都市に住めば物価は高い。少し離れれば通勤時間が長くなる。つまりその中間、物価はそこそこ、通勤時間もそこそこの位置にマーケットを絞った戦略を立てています。
とは言えフィリピンの中流階級向けのマンションで数千万円って、日本とあまり違わない印象がありますね。
ドゥテルテ大統領のBuild Build Build政策ど真ん中の会社ですし、来年の大統領選も恐らくサラ・ドゥテルテ氏が副大統領、大統領がボンボンマルコス氏になりそうな雰囲気で、そうなればDMCI Holdingsは面白い銘柄になるような気がしています。
どうでもいいですが、サラ・ドゥテルテ氏のタグライン、いわゆるキャッチコピーはSara al (タガログ語の口語表現sana al「うらやましい」をもじったもの)です。旬なネタなのでフィリピン人と話すことがあれば使ってみてください。