フィリピンの銀行だってことを知らなくてもメトロバンクの名前はどこかで聞いたことがあるかもしれません。海外展開する企業に勤めていれば一度は必ず耳にしたことがあるかと思います。
メトロバンクは1962年9月5日に設立されました。フィリピン国内に2,300台以上のATMを設置し、フィリピンの国内の支店数は950店以上、海外支店は32店を展開しています。
1963年に最初の現地支店を開設し、1970年には初の海外支店を台北に展開しました。1973年には香港に駐在員事務所を設置しています。
1975年には民間銀行として初めてアメリカに進出し、グアムに事務所を開きました。その後、ロサンゼルスとニューヨークにも支店を開設しています。
1981年にPSE(フィリピン証券取引所)に上場し、1988年には三井物産と合弁でトヨタ・モーター・フィリピン・コーポレーションを設立しました。1998年にはアクサグループと提携してフィリピンアクサ生命保険会社を設立しました。
1995年には業界最大の資本金228億ペソを有する銀行になりました。
名実ともに世界規模の銀行と言っても差し支えないでしょう。
日本国内に於いて日本国籍のみを有する人はメトロバンクに銀行口座を開設することは出来ません(2021年5月現在)。
少し前のプレスリリース(2021/05/03)ですが、重要なところをサッと翻訳したいと思います。
Metrobank net income up 27.1% to P7.8 billion in 1Q2021
メトロバンクは第1四半期の純利益は27.1%増の78億ペソに急増しました。非利息による収入は28%増の79億ペソで、手数料収入の33億ペソが含まれています。信託報酬は20%増加し、トレーディングやFXでの利益は2倍の29億ペソとなりました。自己資本比率は19.9%、普通株式Tier1は19%で、これは規制上の最低基準の2倍となっています。また準備金は不良債権の166%をカバーしています。預金残高は16%という大幅なペースで増加し、1兆3,000億ペソに達しました。これにより高コストの定期預金を減らすことができるようになり、前回の利下げによる資産利回りの低下を緩和することができました。また信用損失引当金繰入額は前年比50%減の25億円となりました。営業費用は、生産性と業務効率の改善に向けた持続的な取り組みにより1.4%増の147億ペソにとどまりました。
メトロバンクは連結資産2兆4,000億ペソ、株主資本3,066ペソのフィリピン国内第2位の銀行です。
この状況下ですごいと思いませんか?
やっぱり良くも悪くもフィリピンで、メトロバンクはGT Capital Holdingsという財閥の傘下です。GT Capital Holdingsは日本企業のトヨタ、オリックス、野村不動産、三井物産、三越伊勢丹ホールディングスとパートナー提携しています。
ちなみに創業者のジョージ・ティ氏(2018/11/23逝去)は日本政府から旭日重光章を受けているほど、日本企業などのフィリピン進出へ多大な寄与をしてきました。
現在の株価は1株45ペソ(MBT)前後で推移しています。世界規模の銀行の株価がこんな値段で買えていいのかと思ってしまいます。2021年3月の配当は通常配当が1ペソで特別配当が3ペソでした。配当利回りを考えると魅力的ですね…。
もちろん僕は購入を推奨する立場にありませんから、投資するか否かは十分に検討すべきでしょう。