ASEAN+3マクロ経済リサーチオフィス (AMRO)の新しいレポートが25日に公開されました。2016年に国際機関になった新しいリサーチセンターではありますが、アセアンと日中韓という東アジア地域を包括したリサーチが得られるので重宝しています。AMROの最新のレポートよりASEAN+3のGDP成長率を抜粋して載せておきます。
2021(2021年10月に行われた予測) | 2021 (2022年01月に行われた予測) | |
中国 | 8.2 | 8.1 |
香港 | 6.5 | 6.5 |
日本 | 2.6 | 1.8 |
韓国 | 3.9 | 4.0 |
ブルネイ | 2.1 | 0.2 |
カンボジア | 2.8 | 2.9 |
インドネシア | 3.8 | 3.8 |
ラオス | 2.9 | 2.6 |
マレーシア | 4.1 | 3.5 |
ミャンマー | -18.7 | -18.7 |
フィリピン | 4.3 | 4.9 |
シンガポール | 6.3 | 7.2 |
タイ | 0.8 | 1.1 |
ベトナム | 2.6 | 2.6 |
オミクロン株の影響が考慮されて多くの国のGDP成長率予測が下げられましたが、一方で韓国、カンボジア、フィリピン、シンガポール、タイの予測が上げられています。
そもそもGDPとは何ぞやなという話を復習も兼ねて整理しておきましょう。
まずGDPとはGross domestic product(国内総生産)を短縮した名前となります。その意味は単純に一定期間内に国内で新しく生み出されたモノやサービスの付加価値のことです。
例を挙げた方が分かりやすいかもしれません。1本100円の木を板にして150円で売れば50円の儲けが出ます。加工代として新しく50円の価値が生まれたと言い換えられます。この場合のGDPは50円となります。この新しく生まれた価値50円は給料や配当として国民に配られ、そして国民はそれを使いますから、GDPは人々が使うお金の合計と言えるわけです。
また上の例の場合100円の価値に対して50%もの付加価値が生まれたと言えます。日本のGDP成長率が1.8%を元にして考えると、100円のモノが101.8円となるわけです。働けど働けど我が暮らし楽にならざり…じっと手をみる状態ですね(笑)一方でフィリピンでは100円が104.9円になると言い換えられます。こう見るとフィリピンの人の方が使えるお金が増えるスピードが日本とは段違いに増えていると言えます。使えるお金が増えれば商品が買われサービスが利用されますから好景気に沸くわけです。
ちなみにマイナスGDPとは言い換えると汗水垂らして働いても無価値どころか価値の棄損という見方も出来るわけで、何のために働いているのか分からなくなりますね。働いても使えるお金はなくなっていく。つまり衰退していると言えます。
もちろんGDPだけを見て経済を語れるわけはないのですが、GDP成長率を見て投資をするのは一つの手法であると思います。というのも、単純に使えるお金が増えれば企業のサービスや商品が利用され、消費されるわけですから企業の業績も伸びるわけです。
ただこの表を見る限り、別にフィリピン株じゃなくても中国株やシンガポール株でもいいんじゃないかって思いますけども、そこはご愛嬌で(笑)
ただ言えるのは日本のGDP成長率を考えれば使えるお金も少ししか増えない=商品やサービスの利用が促されないわけですから、日本の株式に投資するなら国際企業に焦点を当てる必要が出てくるでしょう。日本はそもそも金融課税強化や株主を敵視するような政策を推し進めているので、あまり魅力が感じられないのが本音ですが・・・(岸田首相、株主資本主義からの転換は重要な考え方の一つ, 2022年1月閲覧)。