最近はフィリピンでも新規上場のペースが落ちていて、ニュースを見ていてもパッとしない内容ばかりですが、SM Investments Corporation (ティッカー: SM、以下SMIC)のthe Philippine Geothermal Production Co. Inc.(以下PGPC)への出資比率100%、つまり完全子会社化したというものが気になりました。
もう少し詳しく見ると、SMICの株式と引き換えにAllfirst Equity Holdings Inc. (以下Allfirst)の保有する81%のPGPCの株式を取得するというもので、まだフィリピン証券取引員会から承認を受けたというものです。AllfirstはPGPCの持ち株会社で、PGPCは名前が示すように地熱発電を事業とする会社です。引き換えにされるのSMICの株式は17,440,000株で、発行済み株式の1.4%に相当します。2021年のPGPCの売上は99,400,000ドル、純利益は48,800,000ドルとなっており、SMICの2021年の売上高の1.2%、純利益はSMICの2021年の純利益の5.5%増に相当します。PGPCの売上に関してはプレスリリースではドル表記でしたが日本円で約132億円の売上となります。こうやって日本円表記の方が実感が湧くかなと思いますが、どうでしょう。
詳細はPSE Edgeのプレスリリースで確認してください。
純利益5.5%増に相当する買い物に新株を発行するのは会社の戦略としては全然ありだと思います。いくら銀行の金利が低くても政策金利の利上げによって金利が上昇すれば利益を圧迫しますし、株券を発行して資金を得られるのが株式会社の特徴ですし、順当と言えば順当なプロセスだとは思います。株主としては希薄化が起こるので聊か不安なところもあるかもしれませんが、既に利益を出している会社の取得はポジティブに取っていいんじゃないかと思います。
それにフィリピンは太陽光発電ブームで様々な企業が太陽光発電に投資していますが地熱発電とはなかなか玄人なところを攻めてきたなと思っています。というよりも僕は太陽光発電よりも確実だと思っています。台風銀座とも言えるような国で、その効率性とメンテナンス性を考えたらACENのように海外にも太陽光発電所を建設してリスクヘッジを取るのが妥当だとは思いますが、全部フィリピン国内にしか太陽光発電所を持たない会社は環境ファクター的な意味でリスキーだと思っています。その点で言えばフィリピンには火山が多くありますから地熱発電は太陽光発電所よりも安定して発電できると考えられます。ということで今回のSMICのPGPCの取得は妙味があるな~と思っています。