フィリピンのREIT (Real Estate Investment Trust)、いわゆる不動産投資信託が始まってから約2年が経ちました。フィリピンで初めてのREITは2020年7月27日に上場したAyala LandのAREITで、IPO価格は1株27ペソでした。それからジョリビーの創設者とマンイナサルの創設者の二人が送り出すDDMPRやFilinvestのFILRTなど様々な企業がREITを上場させてきました。REITは不動産に投資する一方で、法人税を軽減、あるいはゼロになる代わりに年間収益の90%を株主に分配することが義務付けられています。少しフィリピンのREIT法を掘り下げてみると、投資家として一番のメリットは配当に対する免税措置があります。これはABキャピタル証券で配当をもらった時に確認できています。
あまり興味がないかもしれませんが、フィリピンのREIT法を読む限り企業として法人税などの免税を受けるためには様々な条件があります。ややこしくないところを掻い摘んでみると次のようになります。
で、こんな法務関係の話は全く面白くありませんね。実は個人的に注目しているのはREITが上場したことによるフィリピン国内の不動産価格の透明化です。REITは決算報告をしなければなりませんから、保有資産(物件)と収益などが公に公開されます。単純に言えば家賃や物件価格の目安が王手企業によって開示されるわけですね。ただ個別には公開されないので劇的に大きく影響するわけでもありませんし、もちろんコンドミニアムのようなサービス付きとなってくると話も違ってきます。それでも数千万円のコンドミニアムの値付けが適正なのかとか、そういう指標にはなるでしょう。また不動産投資は表面利回りよりも実質利回りを見ろとは良く言いますが、実質利回りが5%、良くて6%くらいなものだと思います。そんで注目したいのはREITも似たような利回りを出している点です。J-REITの利回りは5%を超えているところも多いですね。手元に大きな資金があれば不動産投資も視野に入れるべきでしょうけども、僕のような弱小投資家には手も出ませんし縁もない話です。さらに空室や自殺などのリスクを考えると現物の不動産には手を出すのにためらいを感じます。だったら、もうプロに任せておけばいいんじゃね?利回りも似たようなもんだし。という感じでREITを選ぶのも一考だと思います。
で、日本の人口減などを考えていくと海外に目を向けるべきということで、まあフィリピン株やってるしフィリピンでいいや、くらいの考えでフィリピンのETFを買っています。ということで、その気になる利回りを見てみましょう。
※8月9日の株価と現時点で公開されている配当金(年4回)で利回りは計算しています。
銘柄 (ティッカー) | 配当金 | 株価 | 利回り |
AREIT | 0.48 | 36 | 5.33% |
CREIT | 0.044 | 2.39 | 7.36% |
MREIT | 0.2468 | 15.70 | 6.29% |
VREIT | N/A | 1.74 | N/A |
DDMPR | 0.027868 | 1.50 | 7.43% |
FILRT | 0.088 | 6.79 | 5.18% |
RCR | 0.0972 | 6.40 | 6.08% |
VREITは上場したばかりですので配当金などの情報がないため利回りは算出できません。なおFILRTは減配したので利回りが少し悪くなっていますが5%を切る状態ではありません。いずれにしても利回りとして5%を超えていますので、不動産投資の代わりにREITという選択肢も十分にあるのではないかと思います。一方で賃貸先は海外企業のコールセンターなど海外に依存しているので海外の景気が悪くなると影響を一番受けるとも言えます。最近だとMOAから中国企業の撤退の話を耳にしますから、そういうリスクは十分に加味しなくてはならないでしょう。
大切なことは他人の話を鵜呑みにせず、十分にリサーチを行ったうえで投資することです。僕のようにREIT法などに目を通せまでは言いませんけども、大切なお金ですから入念に調べて投資してくださいね。