27日にフィリピンはオンラインカジノ175社を営業停止にし、さらに中国人従業員約4万人を強制送還することを決めました。これに伴いオンラインカジノで家賃が高騰していたオフィススペースが大幅に下がり、さらにはオフィススペースの空室の容量が増え、経済的にもダメージが大きいという見通しでフィリピン株は大幅に下落しました。中国人同士の犯罪が目立っていたことが端緒だとしています。
フィリピン人の友人がそろそろコンドミニアムが大幅に値下がりするはずと言っていましたが、強制送還に伴い中国人従業員が住んでいたコンドミニアムの売却が進むので、なるほどこういうことかと首肯しました。コンドミニアムは提供される写真は良くても蓋を開ければ共有スペースやゴミ捨て場が汚かったりしますから、その隣人リスクを抱えたものを資産として長年持つことは個人的には考えられないな~ということで購入していませんでした。実際にフィリピン人の富豪がマニラのコンドミニアムに住んでいるとはあまり聞いたことがありません。そもそもフィリピン人であれば土地を買えますからね。そんでもってフィリピン人の富豪なんかはコンドミニアムを持っていてもタガイタイなどの避暑地などに持っていることが多いです。ということで銀行口座などの開設という付属品が手に入るにしても、コンドミニアム投資はやっぱり個人的には食指が動きません。
話を戻しまして、オンラインカジノの営業停止によって不動産関係は総崩れです。僕のREITもダメージを受けていますが、別に短期売買して稼ぐ投資スタイルではないので、長い目で見ればどうにかなるんじゃない?くらいの感覚です。
本題のフィリピンのGDPですが、世界銀行(World Bank)と国際通貨基金(IMF)がフィリピンのGDPに対する見通しを奇しくも訂正したのですが、それが真逆の見方をしているのが興味深いです。いやいやブレトンウッズ協定で同時期に作られた機関で、さらに同じ国連の専門機関なのに何で違うこと言うの?という感覚ですね。ただ奇しくもなのか言い合わせたのか分かりませんが結果は同じ数値に帰着しています。ただ観点がポジティブからネガティブへ、あるいはネガティブからポジティブと異なるのは注目したいところです。
まず世界銀行が2022年4月号のレポートではフィリピンのGDP成長率は5.7%に留まるとしていました。これを10月号では6.5%に引き上げました(ソース)。なお2023年のGDP成長率は5.8%と予測しており、これは東南アジアではベトナムに次ぐ成長率としています。一方のIMFですが7月号のレポートでは6.7%のGDP成長率を掲げていました(ソース)。これを世界経済の影響を鑑みて6.5%に下方修正しました。結果として世界銀行もIMFもフィリピンのGDP成長率を6.5%としています。世界銀行は個人消費の観点からGDP成長率は上がると予測し、IMFは世界経済の影響からGDP成長率は下がるとしています。個人的にはそれでもGDP成長率が6.5%もあれば御の字だとは思うのですが、どうでしょう。
ただし今回のレポートはオンラインカジノの追放を考慮していませんから、少し見通しが分からなくなったのは事実でしょう。しかしオフィス賃料が下がれば企業が借りやすくなるというポジティブな側面も持っていますから、これがどのような結末を導くのか。その結果はもう少し待たねばならないでしょう。