Converge ICT Solutions (CNVRG)は7月6日のプレスリリースで顧客のダウンロード速度を飛躍的に向上させ、次世代高速インターネットを構築するためにバックボーンを400Gbpsから800Gbpsに増強する計画を明かしました。今回のアップグレードでコンバージの加入者は、高解像度のゲームソフト1本とHD映画20本を1秒でダウンロードできるようになると述べています。
単純に言えば1秒間に800GBのデータ量を転送することができるわけですから、あながちコンバージの主張は間違いではありません。ただ理論的に間違っていないだけで消費者の手元にはこのスピードで届くのは現実的ではないでしょう。というのも、まずそれだけのデータ量を処理できるパソコンを消費者が持っていないといけませんし、そもそもコンシューマー側の回線が800Gbpsを転送できるものでなければならないなど問題は山積しているからです。
そもそもバックボーンって何ぞやっていうところからの人も多いわけですが、単純に言えば主要通信回線のことです。例えば、職場でLANを使用している人は多いと思いますが、これは規模が小さいながらもバックボーンと呼ばれます。インターネットプロバイダー間をつなぐ通信網もバックボーンと呼ばれます。私たちがインターネットを介してやり取りするデータを自動車に例えて言うなら、バックボーンは幹線道路と言えるでしょう。その幹線道路が細いと渋滞する、つまりインターネットが遅くなるわけですね。
ちなみに日本の王手インターネットサービスプロバイダ―でも400Gbpsは早い方で、800Gbpsはかなりのレアケースになってきます。もっともっと噛み砕いて言えば、フィリピンのインターネットが日本よりも速くなる可能性があると言えるでしょう。それくらいのインパクトが800Gbpsにはあります。身近な例を挙げて言えば、今まで以上にZoomやSkypeなどのビデオ通話がクリアになりますし、映画などもストレスなくストリーミングで見られるようになるでしょう。
今更ながらの話題ですが、フィリピンのインターネットってスピードの割に安くはありません。
たとえばPLDTのFIBR PLUSプランを見てみましょう。
まず一番安いプランは2,399ペソ、日本円で約5,300円ですが50Mbpsが最高スピードです。比較としてフレッツ光を取り上げてみると、フレッツ光は最大10Gbpsで月額6,930円+プロバイダー費用となります。PLDTが一番売れてるよって宣伝しているプランは最大100Mbpsで2999ペソ、日本円にして約6600円とフレッツ光に近い価格になってきたにも関わらず速度はフレッツ光の100分の1です。そして最大200Mbpsとなると4099ペソ、約9100円になります。
もちろん期待値の速度ですから実際はもっと遅くなります。たとえば僕は光ファイバーを契約していますが、fast.comで調べると実際には200Mbpsしか出ていません。しかしインターネット代は9100円もしていません。
ちなみにコンバージのFiber Xプランを見てみましょう。
100Mbpsのプランは2500ペソですからPLDTより安いと言えるでしょう。ただ75Mbpsに打消し線がしてあるところがポイントですね。いつかは75Mbpsになるとも読めるわけですから、そうなるとPLDTとあまり違いがなくなってくるかもしれません。インターネット代が高い割にスピードが遅いフィリピンの現状が打開されて欲しいと思っています。
あまり月額料金としてはパッとした違いがないかもしれません。PLDTなどがバックボーンを公表していないので比較することはできません。ただ800GBpsとなると日本のインターネットサービスプロバイダ―より速くなるわけで、Converge ICTはフィリピンのインターネット事情を本当に変えるかもしれませんね。