Meralco(メラルコ)の2021年上半期の連結コア純利益は、販売数量の増加とサン・ブエナヴェントゥラ・パワー (San Buenaventura Power Limited)が大きく寄与したことにより2020年の106億ペソに比べて8%増の114億ペソとなりました。ちなみにサン・ブエナヴェントゥラ・パワーの超臨界圧石炭焚き火力発電所のボイラーは日本の三菱重工が受注したものですね。石炭を燃やして得る蒸気を通常よりも高温高圧にして発電することを超臨界圧と言います。日本はもう少し技術の進んだ超々臨界圧を使っていたりします。
話を戻すと、メラルコの連結売上高は1,491億ペソとなり、2020年に比べて約8%増加しました。電力収入全体の22%を占める連結配電収入は7%増の315億ペソとなりました。
メラルコの中間配当は1株当たり5.057ペソとなりました。8月23日が権利付最終日になり、9月15日に支払われます。昨年(2020)の中間配当は1株当たり4.697ペソなので、実質的な増配と言えるでしょう。また最近の冴えていない株価的に利回りは5.6%を超える見通しです。
社長兼CEOのレイ・C・エスピノサ氏は、上半期の売上高が7.0%増加した主な要因は家庭用電力の需要と顧客数の拡大によるもので、住宅用が昨年比で3.0%増、商業用は半年間で0.1%増加したと述べています。
再生可能エネルギー発電などが台頭してきている中では上々な結果ではないかと思っています。その一方で脱二酸化炭素の世界的な潮流を鑑みると少し不安が残るのも事実です。ただある日突然に全て一斉に火力発電などが再生可能エネルギーに置き換わるわけではなく段階的に置き換わるでしょうし、仮に再生可能エネルギー発電所が増えたとしても火力発電そのものの需要が全くなくなるとも考えがたいので、メラルコの戦略を静観したいと思います。
このままフィリピンでワクチンの供給が順調に進み外出規制などが緩和されれば必然的に住宅用の電力需要は減り、商業用の電力需要が伸びます。住宅用よりも商業用の方が利益が出るわけですから、ワクチン接種率が伸び、その効果が見込める来年、あるいは今年の下半期はより一層のコア利益の増加が見込めるのではないかなと期待しています。
詳しい決算状況などはPSE Edge上にあるメラルコのディスクロージャーで確認してください。