Pythonを使ってごにょごにょとしていると、社名の関係から8990 Holdingsを頻繁に目にすることになります。社名から具体的に何をやっている会社なのか分かりませんが、Holdingsですから持株会社というのが辛うじて分かる程度です。たぶん日本との関わりも多くない会社であると考えられます。何だかんだと目についた会社なので、この際ちょっと調べてみようと思いました。
8990 Holdingsは2005年7月8日に情報技術・通信サービス事業者として創業したIP Converge Data Center, Incという会社を前身としています。2013年10月1日にフィリピン証券取引委員会より現在の社名への変更および持株会社への移行が承認されました。ただ8990 Holdingsは2012年にIT事業を売却し、さらに会社更生法の適用を受けて、現在は低価格の大衆住宅開発を行う会社になっています。だからなのか、ティッカーはHOUSEになっています。
製品を知らない会社の株を買うのは聊か怖いわけですから、実際にどのようなプロジェクトを行ってきたのか、そのポートフォリオなどを確認するのは重要です。しかし今はフィリピンに直接行くことはできませんから時代の利器たるGoogle Mapで巡ってみたいと思います。
Urban Deca Homes Ortigas Residencesはマニラ首都圏のパシッグ市に於ける総計19,046戸という比較的大規模な住宅開発プロジェクトと言えます。Google Mapの写真は2019年11月のものなので更地しかありませんが、付近の情報を公開してくれているユーザーの写真では既に建物が立っている風景を見ることが出来ます。残念ながらそのスクリーンショットを取ることはGoogle Mapの利用規約に抵触するので興味がある方はレビューから確認してください。日本で言えば結構な規模の団地と言えるでしょう。
少し地域を話してイロイロ州のDECA HOMESを見てみましょう。
何段階かのフェーズに分かれたプロジェクトで、こちらも大きな規模のプロジェクトとなっています。ただいろいろと回りをぐるぐるStreet Viewで巡ってみると少し過密な印象を受けます。
ちなみにイロイロ州にはLa Paz市が含まれています。Monde NissinのLa Paz Batchoyの発祥地ですね。
2021年3月の四半期のデータを見てみましょう。
※PSE Edgeで公開されているものの抜粋・翻訳です。
バランスシート (ペソ)
四半期 | 決算(監査済) | |
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流動資産 | 49,535,671,509 | 49,398,037,492 |
総資産 | 82,783,294,129 | 78,481,918,501 |
流動負債 | 18,505,881,509 | 26,274,513,858 |
総負債 | 40,564,718,681 | 41,440,108,402 |
損益計算書 (ペソ)
今年の会計年度の初めから今日まで | 昨年の会見年度の初めから同日まで | |
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総売上高 | 4,476,638,944 | 3,465,525,982 |
総支出 | 2,213,410,646 | 1,542,786,108 |
税引き前利益/損失 | 1,604,997,252 | 1,352,346,493 |
税引き後純利益/損失 | 1,551,995,070 | 1,320,968,856 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,551,995,070 | 1,320,968,856 |
パッと見ですが以外に悪くないんじゃないですか?バランスシートを見ても成長性の遅速を別にすれば前進していますし、損益計算書を見ても昨年と比較したらキッチリと利益を出しています。会社更生法の適用を受けてIC事業から住宅開発に舵を切ったわりには、地味ながらも上手くやっているように見えます。
ただやっぱり投資するか否かという視点で言えば、僕は投資対象とする銘柄ではありません。やっぱり一度会社更生法の適用を受けているのはリスクに感じますし、8990 Holdingsに投資するならAyala Landなど他のデベロッパーに投資した方が将来性があるような気がするので、あえて8990 Holdingsを選ぶまでもないかな~と言ったところです。ただ業績を見ても別段悪いわけではないですから、ポートフォリオを増やすための銘柄の1つとして検討しても面白いかもしれません。