SM Investmentsの上半期の業績が公開されました。
連結純利益は前年同期の71億ペソから201億ペソ、連結売上高は1,935億ペソと前年同期の1,855億ペソから4%増となりました。
リテール部門は1,383億ペソと前期の1,392億ペソとわずかに下回りました。事実として下回りましたが、コロナ禍にあってリテール部門でこの数字を叩き出せるのはある意味で驚愕的だと思います。
プロパティ部門の連結純利益は2020年上半期の104億ペソから116億ペソと12%増となりました。ただ連結売上高は411億ペソとなり、2020年上半期の437億ペソから6%減少しています。住宅事業が好調なのはフィリピンの人口傾向を見れば明らかですが、個人的に不思議なのはモール事業が好調だった点です。営業時間の短縮など制限があったにも関わらず好調だったことはアフターコロナの成長を期待させます。
銀行部門ではBDOが214億ペソの利益、China Bankingは純利益が73億ペソとなっています。コロナウイルスによる貸付金返済の遅延などを考慮しても高い収益性を保てているのは興味深いと思います。
ざっとSM Investmentsの業績を眺めてみましたが、決して悲観させるものではありませんでした。詳しい業績はSM Investmentsのニュースなどで直接確認してください。
PSE Edgeに公開されたディスクロージャーによるとSM Investmentsが8月4日にGoldilocks Bakeshop Inc.の発行済普通株式の約74%を取得することを決定しました。この普通株式取得によりGoldilocksはSM Investmentsの子会社となります。
Goldilocksは1966年5月にマカティで創業したベーカリーショップチェーンです。初日の売上は574ペソ (約1000円)でしたが、徐々に人気を博して今や売上は初日の何千倍になりました。なお1976年にはアメリカのカルフォルニアに支店を出すなど海外進出にも積極的で、現在はフィリピン国内及びアメリカとカナダ及びタイの支店を含めて420店舗以上を展開しています。さらに1981年にローマ法王ヨハネ・パウロ2世が来比する際にはケータリングを任されるなど信用を得ているのもポイントですね。ちなみに”You know you’re Filipino if”というフィリピン人の特徴について述べた書籍にも言及されているほど人気です。
なおSM Investmentsは過去にGoldilocksを買収しようとしています。2018年にSM InvestmentsはGoldilocksを完全子会社化する予定でしたがビジネス環境の変化を理由に撤回し、34%の普通株式を取得するにとどめています。このような結末の背景にはフィリピン競争委員会(PCC)が提示した買収条件「競合他社にSMモール内での公正な機会を与えること」があったと考えられますが、今回はそれがクリアできたのか、あるいは条件を飲んだのか明らかにされていません。個人的にはどうして今のタイミングの買収なのか、その意図が読めません。
上半期の好調な業績発表やGoldilocksの買収などのニュースがあったにも関わらず、株価に大きな影響があったようには見えません。出来高の増減を見ても影響は限定的だったように思います。ただDyBuncio氏の「より多くのフィリピン人が予防接種を受けることで回復の勢いが続くことを期待している」という言葉の通り、僕も回復基調が続くことを期待しています。コロナ禍でこれだけの業績を叩き出せるのは何だかんだいってすごいことだと思いますからね。