フィリピン株式市場は6,623ペソと若干のマイナス圏から始まりました。しかし次第に値を下げると、恒例の引け直前に謎ジャンプを起こしました。終値は6,666.86ペソ、前日比+43.63、+0.66%となりました。GCQなどの影響があり、しばらくは下げが続くかなと踏んでいましたが好調な伸びを見せています。これは少し計算外でした。
AC Energyは昨日の値を戻すような展開となりました。9.07ペソと昨日の終値と同じ価格でスタートし、一旦安値の8.92ペソを付けましたが値を伸ばし、一時9.25ペソの高値を付けると9.22ペソで引けました。前日比+0.15ペソ、+1.65%となり、前日の下げ分の半分を戻したことになります。
AC Energyの評価損益は+1,333.04ペソ、+2.94%となりました。
順調に基準線が右肩上がりになっていますね。
もはやテクニカル分析の賜物と呼べる状況ではなくなってきていますね。
Monde NissinはIPO資金の用途を負債の返済に充てることを決めたと報告がありました(PSE Edge)。
もともとのIPO資金の用途は463億ペソのうち57%にあたる265億ペソを設備投資に充て、残りを負債の返済に充てるというものでした。しかし今回、この設備投資に充てる予定だった256億ペソの内から156億ペソを返済に充てると決定しました。Monde Nissinによると、この変更により約7億ペソの支払い利息を削減できるとしています。
正直これは経営判断が正しいものなのか、あるいは悪手なのか決め難いです。確かに負債を返済することで支払利息を減らすというのは不要な支払いがなくなるという目で見れば悪手とは思えません。しかし負債の利率が例えば3%として、その利率を上回る利益を出せれば負債は決して悪いものではありません。もし今回の返済が単に利息を払うのを嫌ったための返済だとしたら、今回の決定は資金が貯まってから起業するという人と同じ罠にハマっているわけですね。
それは時間という機会損失です。
負債の本質は時間の圧縮です。仮に資金を貯めるのに3年かかったとしたら、負債を抱えて営業を行っていた場合の3年分の営業利益を失っていると言えます。利息は実際に計算しやすいですから自分がどれだけ利息を支払うのかが目に見えます。一方の営業利益は先が読めませんから、その結果として計算しやすい返済利息だけを見て、資金を貯めてから事業を始めよう、とにかく負債は借金で良くないという思考に陥りがちです。この状態は利息分の損をするのを嫌い、本来得られるはずの営業利益を失うのが見えていないわけです。そもそも利息を返すのが厳しいのであれば、その事業は始める前から失敗しているとも言えるでしょう。それなら別のことをした方がマシです。
ただ今回の場合はコロナウイルスという、まだまだ先が見えない状況下の判断です。
今の段階で設備投資を行ったとして、物流が滞り出荷できない状況になればMonde Nissinにとってダメージは甚大です。事実としてコロナ前と比較して輸出入もかなり限定されています。すると資金繰りが悪くなりますから、新しい融資か設備を売却するかの選択を迫られます。融資を求めれば支払い利息も増えます。仮に設備を売ってその場を凌ごうとしても、今のご時世に買い叩かれるのは火を見るよりも明らかです。また買い叩かれるならまだ良くて、買い手が現れないということもあるでしょう。
そこで先に負債を返済しておけば利息の支払いを逃れられるだけではなく、返済した分を「もしも」の新たな融資として借りることも可能となります。設備投資の際には再び借りれば問題ない、という見方も出来るでしょう。
今回のMonde Nissinの資金用途の変更が今後どのような影響を与えるのかは未知数です。しかし僕よりも遥かに経営能力に優れた人たちの下した判断ですから、決して悪いことにはならないんじゃないかなと思います。僕も今の状況ならば設備投資よりも負債の返済に充てていたかもしれません。
少し強めに買い増しをしていますが、これが吉と出るのか凶と出るのか、お楽しみです。